眠れないあなたにささげるララバイ     アダルトチルドレン  ピエロの悲しみ

ほんとうは眠れないわたしをのことを誰も、知らない。

「あなたは、悩みがなさそうでいいわね。」

また、言われた。
悩みがない人間なんているわけないじゃあないか。

そんなことを思いながら陽子は薬を飲んだ。

いつからだろう、
これがないと眠れなくなったのは、
こんなものを飲んでいると余計眠れなくなることはわかっている。

でも、ひとまず明日のために眠らなくてはいけない。

 

 

誰もこんなわたしを知らない。
「あなたは、悩みがなさそうでいいわね」と言った先輩はきっと薬がなくても眠れるんだろう。

「きみが一人ピエロだったよ。」
主人を初めて家族に会わせた時言われた感想だ。

自分では気が付かなかった。
でも、そういわれてとても腑に落ちた。

厳しい父親、それにいつもびくびくしている母親、泣き虫の妹
家の中はいつも緊張状態だった。

わたしは、いつも母を笑わす役目をしていた。

怖かったのだ。

その怖さを道下の仮面で隠していたのだ。

怖さを感じたくないから平気なふりをし続けていた。
こころの怖さがマヒしているから、からだが悲鳴をあげているのだ。

「怖い!怖くて眠れない」

陽子のこころの叫びはこんな感じなんだろう。

「わたしは本当は〇〇が怖い」
「わたしは〇〇が怖くていい」

これが陽子のからだをゆるます呪文なのだ。
これが陽子を眠らせる子守歌なのだ。

アダルトチルドレンには、
スーパーチャイルド(優等生)、ロストチャイルド(関心を向けられない子ども)、
ケアテイカー(親の世話をする子ども)、ピエロ(道化師の役割をする子ども)、
スケープゴート(犠牲になる子ども)
という種類があります。

この陽子さんの場合は「ピエロ」にあたります。
家族の緊張状態を自分が道化になることで和らげる役割をしているのです。

 

 

ピエロは、名前のどおり「道化」を演じます.
暗い雰囲気を嫌い、その場を明るくしようと行動します.
それは時に自分の感情を無視しての振る舞いなので、自分の感情に対して鈍感になってしまいます.
その仮面の下は「自分がおどけてないと、家族がバラバラになってしまうかもしれない」
という恐怖心が潜んでいます。

その緊張感ゆえに夜になってもリラックスできず、眠れなくなるのです。

これを続けていると、
ピエロの仮面がとれなくり、どんなにSOSを発しても周りの人には全然わかってもらえません。
さらに、陽子さん自身、自分が緊張していることがわからなくなります。

そして、陽子さんは常に緊張状態にあるから眠れないのです。

その怖さは、怖すぎて一人ではどうしようもないものですが、
セラピーでゆっくり溶かすことが、できます。

 

☆ 陽子さんというのは、架空の人物です。

 

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